いろんな国にこれまで行ったけれど、日本ほど住みやすい国はないというのが私の結論。
デフレの影響で物価は安いし、消費税も少ないし(まだ!)、100円ショップはレベル高いし、コンビニはおいしいし、公共交通手段も充実しているし、人は時間厳守で勤勉。そしてなによりもチップがない(笑)!
ところでチップとは英語で"To Insure Promptness"の頭文字で、直訳すると「迅速性を保証する」ということ。気持ちいいサービスや時間を得るために払う保険のようなものだけど、普通は受けたサービスに対するお礼と評価の意味を含めて後から支払うのが一般的です。チップというのはあくまでもお客様のお心次第ですが、サービス料というのはお客様の意向に関係なく追加されたり、含まれたりするものなのでチップと根本的な意味は違います。ただし、チップ制度が定着していない国ではサービス料=チップとして捉えられることが多いと思います。日本のホテルや旅館ではあらかじめサービス料込みの料金設定になっている場合があるようです。
そもそもサービスが無料というのは日本人の常識(非常識)!?たしかに感謝の気持ちをお金で返すというのは現代の日本では馴染みがない習慣です。チップが最も浸透しているのはアメリカやカナダ。北米ほどじゃないにしろ、ヨーロッパ諸国でもホテルのベルボーイやルームサービスにはチップを払う習慣があるし、レストランでお会計にサービス料が含まれない場合はおつりを多めに残したりするようです。東南アジアの観光地やオーストラリアなどのチップが一般的ではない国でもサービスが良かったときや満足したときには心づけを払うこともあるし、どうも日本だけが「チップを払わない権利」みたいのが定着しているように思います。日本のシステムではレストランやホテルの料金にはサービス料が含まれており、意識して払ったことがない日本人にとってはチップを追加で払うというのは何だか損しているような気分になるのかも!?日本ではすべての労働に対して最低賃金が保障されているいうこともあるけれど、チップというのはそもそも従業員に安い賃金で働いてもらう雇用主の知恵じゃないかとすら思えてくる(笑)。現に欧米でチップを貰う仕事をしている人たちは低収入なのでチップが収入源になっています。
日本でチップを渡したらどうなるんだろう?
日本人はそもそも真面目で、お金に対して潔癖な考えを持っている人種であるから、お客さんから個人的にお金を受け取るなど恥ずべき行為だと思っている人も多いのかも知れないし、少なくとも禁じられるべき行為だと感じる人は多いでしょう。たとえば日本のレストランでウェイターのアルバイトの学生に多く支払ってお釣りはあげると言った場合、「それは出来ません」と言っておつりは無理やり返金するか、それが無理ならお店の売り上げとして受け取らなかったおつりを正直に説明して追加しておくか、どちらかだろうと思います。たとえラッキーと思ってポケットに忍ばしたとしても、お客さんが個人的に払ったお金なので犯罪じゃないにしろ、どこか後ろめたい気分は否めないかも。エステや美容院でチップを渡そうとしても、「お気持ちはありがたいですが、受け取ることはできません」と断わられるだろうし、日本のホテルのベルボーイもサービス料を別にいただいているので遠慮して受け取らないかも。タクシーの運転手さんなら「おつりを取っておいて」と言われて、貰うことはあるのかな?
また日本は100円や500円などの細かいお金が小銭というのもチップが馴染まない要素の一つなのかも知れません。小額を手渡すのは乞食への施しならともかく、相手に失礼だと思う人も多いだろうし、かといって1000円というのはチップにしては大きすぎる。勤勉な日本人にとって、チップのような歩合制度は不要と言われれば確かにそうかも!
とにかく日本はサービス旺盛な国。「お客様は神様」と信じられているだけあって、素晴らしいサービス精神で対応してくれることが多いです。それは奉仕熱心な日本人の持つ美徳であり、仕事熱心な日本人独特の国民性の表れでもあると思う。
さてさてバリ島にチップはあると思いますか?
これだけは貰う立場にいる人にしか分からないところがありますので、実際の比率は分からないし、バリ人に聞いても「貰うときもあるし、そうじゃないときもある」、としか教えてくれないので現状は把握できないというのが本音。とりあえず私の答えは「任意だが旅行者に対してはあることが多い」です。バリ島は近年では世界有数のリゾートに成長し、観光業で支えられているといっても過言じゃないのでチップが根付いてきたように感じます。バリ島にはもともとチップがなかったからホテルなどでも別途サービス料を取るシステムが確立しているわけだし、サービス料を払えばチップは不要と思われそうですが、バリ島のチップはアメリカのそれとは異なりあくまでも気持ち程度。アメリカはアメリカ国民であれ観光客であれ、ほぼ強制的にチップが義務付けられている国なので、タクシーは10%~15%、レストランは15%~20%、美容院やスパは最低20%が基本。日本よりも結果的に高つきますね。
バリ人同士でもチップみたいな習慣は多少なりともあるようですが、バリ島のチップはどちらかというと日本の心づけやお駄賃に近い感じでしょうか。気分や財布の懐具合によって払うこともあれば、そうじゃないこともある。払う人はまめに払うし、払うことで顔を立てるというか、見栄っ張りなのか、気前がいい人も中にいます(笑)。ただし、バリ人にとってのチップとはあくまでも目上の人や裕福な人が払うものだという印象を受けます。バリ人でもお金持ちの男性はチップを奮発することがあるし、同じお金持ちでも女性はケチが多いみたい(笑)。在住者は旅行者とは扱いが違うのでバリ人もチップを期待していないけれど、最近は在住者でも払ったほうがいいのかな?と思うような状況もあるので微妙なところですね。今はあまり余裕がないので、チップが期待されそうな場所にはあまり行かないようにしています。払う、払わないは個人差があるし、金額も少なくても許してもらえそうですが(苦笑)。
当然ながら旅行者はバリ人にとってはお客様。わざわざ遠い海外からやってくる観光客はたとえ自国で貧乏だとしてもバリに来たらお金持ちと思われるのは避けられません。さすがに「バリ島にはチップの習慣はないので、チップは不要」と言い切っているガイドブックはないと思いますが、日本人はチップを払う人とそうでない人に二分化される傾向が・・・。
まだまだ謎の多いバリ島チップ事情ですが、大まかにチップの目安は独断と偏見で下記のように分けられると思います。
ローカルワルン→不要。
観光客向けの安いワルン→基本的に不要だが、サービス料がないのでおつりは気持ち程度(1000~2000ルピア)残しても◎。
町のレストラン→サービス料5%が追加されるので基本的に不要だが、食事がおいしくてサービスも良かったら1000~5000ルピア程度のおつりを置いてきても◎。
街スパ→5000ルピアでも感謝される。パッケージの場合や上手なセラピストに当たったら1万~2万ルピア程度渡すと◎。中には10万ルピアのマッサージに対して5万ルピアあげる人もいる!
ホテルのスパ→気持ちよかったら直接セラピストに1万~2万ルピア渡すと喜ばれる。無料でスパがついている場合はチップを奮発すると◎。
ホテルのレストラン→基本的に不要だが、特別に素晴らしいサービスを受けた場合やルームサービスを頼んだ場合、、またお気に入りのスタッフには1万ルピア程度を目安に渡すと喜ばれる。
ホテルのベルボーイ→カートで案内してもらったり、夜遅いチェックイン、重いスーツケースを運んでもらった場合などは一部屋当たり1万~2万ルピア渡すと喜ばれる。1000ルピアや2000ルピアなら渡さないで・・・!チェックアウトの際にも、荷物を取りに来てもらったときや車を用意してもらったときに渡すとスマート。
ホテルのハウスキーピング→連泊したり、部屋を散らかしたり、部屋を汚した場合は枕銭(枕の下に置いてはいけません!)として一部屋当たり1~2万ルピア置いてもよい。
ホテルのフロント→基本的に不要だが、いろいろお願いしたり親切な対応をしてもらった場合は他のスタッフに見えないようにこっそり渡すと◎。
ドライバー&ガイド→シャトルバスの場合は不要だが、ムリをお願いしたときには1万ルピア程度渡すと◎。空港送迎の場合も不要だが、待ち時間が長かったり、荷物を運んでくれたりした場合は1万~2万ルピア渡すと喜ばれる。1日チャーターでいろいろ連れて行ってもらったときはサービスの内容によって5万~10万ルピア程度。ドライバーがいるときはドライバーにも忘れずに!個人でフリーランスとして働いている場合は料金も交渉価格なので基本的には不要なはずだが、気持ちいいサービスを受けた場合は2~5万ルピア程度、もしくは食事に誘うものも◎。日系の旅行会社のツアーの場合はあらかじめサービス料込みの設定になっていることも多いです。
ラフティングガイド→ちょっと強制的に求められることもあり!パフォーマンスが上手で楽しい時間が過ごせたなら1~2万ルピア渡すといいかも。
チップというのは高級ホテルに泊まるお客さんのほうが払う意識が高く、実際に払っている人が多いと思うのですが、高級ホテルの場合は料金にサービス料10%が含まれているため、特別なシチュエーションを除けば基本的にチップは不要だといえます。逆に本当にチップを必要としている人たちはもっと安いホテルやゲストハウスで働いている人たち。安宿のスタッフは最低賃金よりも低いお給料で働いているケースが多いですし、ホテルのようにサービス料金がお給料に反映されないので、むしろチップが収入源になっていることもある。もちろん、高級ホテルで働いていても全員が高給取りというわけじゃないのですが、高級ホテルで雇ってもらえるということ自体がある意味ステータスでもあり、健康保険をはじめ社会保障もしっかりしているため、平均的なバリ人よりは恵まれた立場にあるということは確かだと思います。
そんなこともあってか、高級ホテルになればなるほど、従業員はチップを期待しないものです。チップの有無でサービスが変わることもありません。ただし世の中というのは皮肉なもので、高級ホテルで働けば働くほど貰うチップの額は増え、ベルボーイなどびっくりするくらい日々溜め込んでいたりする!日本人はチェックインの際、お部屋に案内されたときに渡すことが多いけど、欧米人はチェックアウトの際にもベルボーイが車のドアを開けてくれたときにスマートに握手して手渡すケースが多いかな。日本人はチェックアウトのときは余計な気を使いたくないのか、自分で持ってくる人がけっこういますね。ハウスキーピングの場合、日本人はガイドブックに書いてあるから毎日まめに枕銭を置く人が多いみたいだけど、欧米人はよっぽど部屋を散らかしまくったときなどは別として、実は枕銭を置いている人は少ない(汗)。滞在中一度も払わない人もいるし、もともとは枕銭とは海外旅行に日本人が慣れていない時代に、日本の旅行会社が団体客を案内する際にホテル側に考慮して「枕銭を一人1ドル置いておきましょう」と勧めたのが始まりだとかないとか!?欧米人は連泊したら最終日に小銭を含むまとまったチップを残していく程度だったり、どちらかというと日本人や台湾人に枕銭の傾向が高いように思います。
まあ、そんなこともあってか、バリ島で人気の役職No.1はハウスキーピング、続いてベルボーイorポーターだったりします。逆にホテルの頭脳プレーヤーであるフロント業は基本給で若干優遇されているものの、英語力や他のスキルがないとハードルが高いため、大抵のバリ人は挑戦する自信がないらしい(汗)。こればかりは当人たちじゃないと分かりませんが、結果的にはベルボーイのほうが高給取りなのかも知れないし、高級ホテルではベルボーイかハウスキーピングとして安定した職をキープするのが一番居心地がいいのかも。。。フロントスタッフはチャレンジ精神が豊富な人が多いので、友達を見ていてもいずれはマネージャ職にステップアップしていくケースが多いですね。
ここだけの話、実は高級ホテルでもサービス料として売り上げの10%の全額がスタッフに分配されるかというと一概にそうとは言えなかったりする(汗)。これはホテルオーナーの意向によりけりで、実際に接客することのない事務系のスタッフを含む全スタッフにも均等に分配されるところもあれば、管理職や日本人GROは対象外だったり、サービス料の一部が維持管理費として回されて実際の支給額は10%よりもかなり少なかったり、部門や勤務年数によって分配率が異なったり、ホテルの内情を知れば知るほど単純にサービス料=チップとは言い切れないところも多いです。だから、サービス料が含まれているとはいえ個人的に良いサービスをしてくれたスタッフにはお礼の気持ちとしてチップを渡すといいのかな、と思いますね。ちなみに私がホテル勤務2年間でいただいたチップは金額的には100ドル弱と頑張った割には少ないほうです(汗)。でも日本人のお客様にはお土産やお菓子をいただいたり、ディナーをご馳走になったり、中には日本円を封筒に忍ばせていただいたり(!)、高級品をいただいたり(^O^)・・・といろいろな方々に良くしていただいたことをこの場を借りてお礼申し上げます。
バリ島ではチップはあくまでも気持ち程度。アメリカみたいに強制されることはないのであまり考えすぎなくてもよいかと思いますが、旅行中はいつでも渡せるように1万ルピア札を多めに持っていると便利かと思います。チップはバリの物価と比較して金額を決めるものではないですし、サービス料とは別にチップを渡しても間違いじゃないですし、多く渡しすぎてはいけないということはありません(むしろ少なすぎるほうが恥ずかしい)。気持ちよく渡せるように、手の平に忍ばせて握手しながら渡すと◎。しかし本来チップとは低賃金で働く労働者に感謝の気持ちをお金で返すシステムなので、バリ人でもオーナーには渡しません。
ちなみにウブドのあるギャニアール県で定められた最低賃金は月1万円ほど。バリ人の生活が貧しいとは思えないけど、それに満たない人たち(お土産ショップの店員や街スパのセラピストなど)もいっぱいいるので、実際は1万円貰えたら平均以上といった感じです。そしてみんな「お金がない・・・」と言っている(汗)。ホテルでもウブドなら3~4万円稼いでいたら高給取りに入ると思う。もちろんビジネスが成功しているお金持ちのバリ人もいっぱいいるし、バブル真っ盛りで潤っているバリ島ですが、地域によっても格差が広がっているように思います。それよりバリに住んでいていつも不思議なのは、どうして自分よりも若いバリ人が10万円以上もする新しいバイクや、彼らの1か月分の給料よりも高いスマートフォンが平気で買えちゃうのかということ。外国人のスポンサーがついていることもあるけれども、そうじゃない人が大半だろうし、ローン地獄?何年住んでもこれだけはホントに不思議!
ウブド近郊の白鷺


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